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EDUCATION

2022.04.01 更新

卒業研究指導

指導方針

早稲田大学本庄高等学院では、早稲田大学への進学の条件として、卒業研究とその成果の論文化を生徒に義務づけています。杉本は「心理学研究」の研究指導を行っています。実験法と調査法を用いた実証と、統計的仮説検定を用いたデータ分析を、研究における基本要件としています。テーマを検討中の学院生にとって参考となる情報を以下にまとめています。

【学院生へ】
心理学研究のガイダンス資料をご用意していますので、杉本への指導担当依頼を検討している方は必ず、対面で直接受け取りに来るか(N214メディアルーム/情報処理教室)、メールでご連絡ください。杉本への質問相談などの連絡は、Profileページ最下部に記載しているメールアドレス宛にお願いします。

過去の指導テーマ

  • 温冷皮膚感覚が対人印象形成に与える影響
  • 顔の信頼性特徴の検出強度と公正世界信念の強さの関連
  • 上下空間の身体特異性仮説の検討
  • キャラクターエージェントの読み上げ速度が信頼性認知に与える影響
  • 高校生におけるシャーデンフロイデの性差
  • 涙袋メイクが顔魅力に与える影響 --大きさ知覚錯視の観点から--
  • 身体動作が創造的思考に与える影響
  • 自尊心と好意認知の関連
  • 第一印象の期待違反時の印象形成メカニズム
  • IAT(Implicit Association Test)を用いた性ステレオタイプの検出
  • 感覚処理感受性とビッグファイブ神経症傾向の関連
  • コミュニケーション傾向と同調性の関連
  • 恋愛イメージと好意理由の性差
  • 精神テンポとBGMテンポの一致性が歩行動作速度に与える影響
  • 系列位置効果の妨害要因の検討(担当外指導)
  • (UXデザイン研究)駅プラットフォームの混雑や事故のUX的改善
  • (UXデザイン研究)学院ホームページのUI・UXの改善
  • (UXデザイン研究)次世代型の食品流通・消費のUXデザインの提案

※上記の研究テーマ名は、杉本が名付けたもので、研究当事者の生徒が名付けたものではありません。

担当OKの心理学研究テーマ例

心理学研究の全体像を把握していただくために、一部のキーワードを挙げました。もちろんここに書かれていないテーマでも担当可能です。不明なキーワードは、Google検索などでお調べください。

  • 好み/魅力/美(単純接触効果、視線のカスケード現象、処理流暢性、プレグナンツなど)
  • 嫌悪/不快(トライポフォビア、不気味の谷、不快刺激を用いた感情条件づけなど)
  • 注意(注意のスポットライト、視覚探索、逆向マスキング、注意の瞬き、ポップアウト、注意妨害など)
  • 感覚(五感のうち主に視覚、視聴覚統合・クロスモーダル、ブーバキキ、香りなど)
  • 知覚(数知覚、大きさ知覚、時間知覚、錯視、両眼視野闘争、仮現運動、色彩、選択盲など)
  • 情動/感情(表情表出、共感、同情、ジェームズランゲ、感情の後付け効果・ポストディクションなど)
  • 記憶(プライミング、系列位置効果、ソースモニタリング、なつかしさなど)
  • 認知バイアス(確証バイアス、認知的不協和、利己的帰属バイアス、予言の自己成就、感情気分一致効果、自己中心性バイアス、代表性ヒューリスティックなど)
  • 行動/学習(強化随伴性、各種条件づけ、ノンバーバルコミュニケーション、しぐさなど)
  • 身体(内受容感覚、自己主体感、行為主体感、ラバーハンド効果など)
  • 空間(サイモン効果、身体特異性仮説、メンタルローテーションなど)
  • 対人認知/対人行動(対人魅力、印象形成と変化、コミュニケーション、恋愛、援助・攻撃行動など)
  • 集団(同調、対立、社会的アイデンティティー、社会的促進、社会的手抜き、内集団ひいきなど)
  • (顔魅力、表情認知、顔認識、サッチャー錯視、化粧など)
  • ステレオタイプ/偏見/差別(年齢・性別・人種等の差別、公正世界仮説、システム正当化理論など)
  • パーソナリティ/性格(ビッグファイブ、その他さまざまな性格特性尺度など)

担当NGの心理学研究テーマの例

  • 心理学の知見を実社会に活かそうとするテーマなど、ヒトの内的処理メカニズムの解明を目指していないテーマ全般
  • 高校生では(高校の限られた設備資源では)実証が難しいテーマ全般
  • 勉強や学力や知能(IQ)など、知能関連のテーマ
  • 言語獲得や発声や文理解や語学など、言語関連のテーマ
  • 文化による心理機序の差異を解明する、比較文化・文化心理系のテーマ
  • 発達障害や精神疾患やカウンセリングなど、臨床心理学系や心理療法系のテーマ(ただし、疾患や障害ではなく、抑うつ傾向や自閉傾向などの個人特性指標を扱うことは可能)
  • 子どもから大人へ成長する過程のパーソナリティ変化など、発達心理学系のテーマ

情報と表現(自由選択科目)

授業シラバス

はじめに

杉本が担当している専門選択科目「情報と表現」の、授業シラバスです。

本科目は、「UXデザイン」と「心理学」を学ぶ、工学・マーケティング学・心理学領域の科目です。様々な問題を、ヒトの生体的特性を基盤とするUXデザインによって検討し、得られた解決策を効果的に表現できるようになることが目標です。

情報系科目に分類されていますが、コンピュータを扱う科目ではありません(情報科=コンピュータのイメージがあるかもしれないが必ずしもそうではない)。コンピュータの知識や操作技術を学ぶことは出来ません。履修にあたって、高度なPC技術は一切不要です。1・2年の情報の授業とは全く異なる科目です。課題制作の負担は、1・2年の情報の授業よりも大幅に少ないです。

UXデザイン

UXデザインとは、製品やサービスのデザインにおいて、利用者の体験価値(User eXperience)を充足することを目指す、工学やマーケティング学領域の比較的新しいデザイン手法です。本科目では、UXデザインを体験的に学び、個人や社会が抱える問題を解決するための製品サービスを考えます。

デザインと聞くと、グラフィックデザイン(イラスト/ポスター/雑誌など)や、インダストリアルデザイン(車/建物/衣服など)を思い浮かべる方が多いと思いますが、UXデザインはそれらとは全く異なる概念です。モノの見やすさや使いやすさなどを追求する従来の設計思想から視点を大きく転換し、製品サービスの利用者側の体験をデザインすることを目的としています。

そのために、UXデザインの基本フローに加えて、質的社会調査法、質的データ分析法、情報の視覚化技術、手描きグラフィック技術などを学習します。

近年の製品サービスのデザイナーにとって、UXデザインは最重要能力の1つとされています。さらに最近は、公共政策にもUXデザインが導入されつつあり、優れた公共サービスが生み出されています。UXデザインの技能は、様々な問題に対して実効性の高い解決策を生み出す武器になります。「フードロスを減らすには?」「海洋プラスチック問題を解決するには?」「魅力的な自動運転車とは?」「都市にとって最適なレンタサイクルサービスは?」など、あらゆる問題がUXデザインによる解決の対象となります。

※レイアウトや配色などのグラフィックデザインは本科目の主題ではありませんのでご注意ください。扱う内容の性質上、ワークショップを頻繁に(ほぼ毎回)行います。UXデザインでは、手描きによるイラストメイキングが重視されます。

心理学

UXデザインではヒトの心理的・生理的特性の理解が欠かせないため、心理学(特に認知心理学/社会心理学/神経生理心理学)も概観します。扱う内容は「注意と感覚と知覚/学習と記憶/美と魅力と嫌悪/顔認知/社会的認知/コミュニケーション/認知バイアス/ステレオタイプと偏見と差別/身体と運動/サイボーグ/ニューロサイエンス/個人特性と個人差/障害と多様性/ウェルビーイング」などを予定しています。

基礎的な心理実験を実際に体験する機会を複数回設けますので、実験法を用いた心理学研究のイメージを掴むことができます。進路選択の参考となるように授業展開しますので、大学において心理学専攻や認知科学専攻を検討している場合は、自身がそれらの学問分野に合っているかを判断するために履修を推奨します。

2学期に行う輪読会にて、「宮崎・阿部・山田他(2017)『日常と非日常からみるこころと脳の科学』(コロナ社)」という心理学専門書を扱います。

メディアアート

日本ではアート集団「チームラボ」でよく知られる、メディアアートの入口にも触れます。一般的なアートは、写真・イラスト・映像・音などのメディアによって表現されるものですが、メディアアートではそれらのメディアとは全く異なる新しいメディアを創出してアート表現を行います。メディアアートを扱う過程で、アートサイエンスやスペキュラティブデザインなど、様々なアートの世界をご紹介します。

ポートフォリオ

授業の最後には、自分で考えたデザインアイデアをまとめるポートフォリオを制作します。ポートフォリオとは、デザイナー業界の就職活動において必須となる履歴書のようなもので、自分がこれまでに創出してきた(あるいは構想中の)デザイン作品をまとめたものです。自ら生み出したデザインを効果的に表現し、自らのデザイニング能力をアピールするために、ポートフォリオ自体のデザインを工夫して、自分ならではのポートフォリオを作ります。

想定履修者

想定履修者は「製品サービスの企画設計、心理学、マーケティング、メディア論」などに興味がある人です。特に、工学・心理学・マーケティング学を大学で専攻しようと考えている人は、履修を推奨します。文系理系は一切問いません。高度なPC技術は一切不要です。作品制作課題や授業内ワークショップを楽しめず苦痛に感じる人は、履修を推奨しません。コンピュータの知識や操作技術は習得できませんので、それを目的に履修しないでください。

評価方法

スライド制作、発表、レポート、授業内ワークショップへの参加態度などで評価します。筆記試験は行いません。

課題制作の負担は、1・2年の情報の授業よりも大幅に少ないです。発表用スライドの制作にPowerPointを用いますが、高度なPC技術は不要です。他科目でスライド発表をする時と同じような課題です。

授業計画(各回2コマ100分)

  • 第01回
    初回ガイダンス、デザインの定義、UXデザイン基礎
  • 第02回
    アフォーダンス・シグニファイア
  • 第03回
    UXデザイン①(ユーザーリサーチ)
  • 第04回
    UXデザイン②(ユーザーモデリング)
  • 第05回
    IoT(Internet of Things)の基本
  • 第06回
    UXデザイン③(アイデアデザイニング、アイデアの視覚化)
    グラフィックレコーデイング手法を用いた手描きイラストレート技術
  • 第07回
    IoTアイデアデザイン・ワークショップ
  • 第08回
    UXデザイン④(プロトタイピングと評価)
    情報の視覚化技術(ダイアグラム/アイソメトリック図法)
  • 第09回
    1学期UXデザイン提案発表会①
  • 第10回
    1学期UXデザイン提案発表会②
  • 第11回
    心理学の全体像、認知心理学概論(注意、感覚、知覚、学習、記憶、など)
    輪読発表会の担当章決め
  • 第12回
    ウェルビーイング・ワークショップ
  •  〜夏季休業期間〜
  • 第13回
    心理学専門書の輪読発表会①
  • 第14回
    心理学専門書の輪読発表会②
  • 第15回
    心理学各論①(美と魅力と嫌悪、顔認知、など)
  • 第16回
    心理学各論②(社会的認知、コミュニケーション、など)
  • 第17回
    心理学各論③(認知バイアス、ステレオタイプと偏見と差別、など)
  • 第18回
    心理学各論④(身体と運動、サイボーグ、ニューロサイエンス、など)
  • 第19回
    心理学各論⑤(個人特性と個人差、障害と多様性、など)
  • 第20回
    2学期UXデザイン提案発表会①
  • 第21回
    2学期UXデザイン提案発表会②
  • 第22回
    ポートフォリオ制作の基本
  • 第23回
    メディアデザイン、メディアアート
  • 第24回
    1年間の振り返り